チューリッヒを中心とする東スイス地区の紹介



東スイス地区には数多くの州がありますが、代表的な3つの州が

1.チューリッヒ州
2.シャフハウゼン州
3.グラウビュンデン州

となっており、チューリッヒ州が一番大きい地区です。それぞれの州のブドウ畑の面積を合わせるとおよそ1550ヘクタールとなり、ジュネーブを抜いて、スイスで3番目に大きいワイン生産地域となります。

この3州はライン川流域のワイン地区で、ライン川流域は源流域であるグラウビュンデンを出発し、アッペンツェル、ザンクト・ガレン、トゥールガウ、シャフハウゼン、チューリッヒ、アールガウ、バーゼルランドと続きます。バーゼル市を過ぎると、ライン川はフランスとドイツの国境線となり、フランス側にアルザス、ドイツ側にバーデンのワイン産地が東スイス地区に続きます。

この様に、東スイス地区はライン・ワイン圏に属する性格を持っています。これら8州を合わせたブドウ畑の面積は約2600ヘクタール程となります。これはスイスのブドウ畑の約2割弱を占めます。

ライン・ワイン圏は使われるブドウ品種が似通っていますが、東スイスの特徴は赤ワインの占める割合が多く、平均して7割以上に至り、最多のシャフハウゼンでは8割に達していること、またリースリングが見られず、その代わりに寒冷地に強いミューラー・トゥールガウが主流になっていること(これを開発したミューラー博士はスイスのトゥールガウ生まれ)などです。

この地区の使われるブドウ品種は、ほとんど共通しています。
白はミューラー・トゥールガウ(リースリングxシルヴァーナーとも呼ばれる)が主流で、他に、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ゲヴュルツトラミナー等が続きます。赤はピノ・ノワー(ブラウブルグンダーとも呼ばれる)が主流で、他にレジェント、ガラノワーなどが続きます。
チューリッヒの白でロイシュリング(Raeuschling)、グラウビュンデンの白でコンプレーター(Completer)が地ブドウから出来る特産品になっています。

赤、白とも気軽に楽しむフルーティなワインがほとんどです。ミューラー・トゥールガウは中甘口系統のワインとなっています。ピノ・ノワーには樽熟成ものもあります。またピノ・ノワーから白ワインも作られており、フェーデルヴァイスと呼ばれています。

シャフハウゼン州はブラウブルグンダーランドと銘を打っており、この品種の赤ワインに力を入れています。ブラウブルグンダーはピノ・ノワーのドイツ語名称で、主にドイツ南部、スイス、オーストリアでこの名称が使われています。ドイツの主流ライン地区では、ピノ・ノワーをシュペートブルグンダーと呼んでいます。

グラウビュンデン州はマイエンフェルド周辺にブドウ畑があり、ハイジ・ワインを生んでいます。アルプスの少女ハイジの故郷ワインです。基本的にフレッシュで、フルーティなワインとなっています。
また南部のミゾ(Misox)地域はイタリア語圏で、同じくイタリア語圏のティチーノに隣接している為、ワインもティチーノ的なものを作っています。ブドウ品種はメルローです。

主な生産地域は
チューリッヒ州
 Weiningen ヴァインニンゲン
 Au アウ
 Waedenswil ヴェーデンスヴィル
 Meilen マイレン
 Staefa シュテファ
 Seuzach ゾイザッハ
 Neftenbach ネフテンバッハ
 Flaach フラーハ
 Ossingen オッシンゲン
 Unterstammheim ウンターシュタッムハイム
シャフハウゼン州
 Rafz ラフツ
 Osterfingen オシュタァフィンゲン
 Hallau ハッラウ
 Thayngen タインゲン
 Stein am Rhein シュタイン・アム・ライン
グラウビュンデン州
 Flaesch フレシュ
 Maienfeld マイエンフェルド
 Jenins イェニンス
 Malans マランス
 Zizers ズィツァス
 Trimmis トリミス
 Misox ミゾ


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