スイスでサイクリング−シンプロン峠−
2008年8月27日

スイスアルプスの峠制覇、本番第三回目、シンプロン峠。これで2008年目標のスイス主要3峠の制覇が終わる。朝8時過ぎ、出発点のブリーク駅に着く。ブリーク駅から国道に出る道やコースの確認に少し時間を費やし、8時25分に出発。
ブリーク駅標高675m。シンプロン峠標高2005m。標高差1330m。峠までの距離24km。
シンプロン峠はナポレオンが砲車を通せる様に全線幅8mの峠道(斜度10度以内)を整備したことで知られている。厳しい渓谷ありのこの峠に、当時よく幅8mの道を切り開いたものだと感心。因みにその峠道が完成した時には、彼は失脚していた。

ブリークの旧市街を抜けるとすぐに上り坂が始まった。途中の集落シャルベルグまで自動車専用道と旧道に分かれている。自転車は旧道を走る。旧道はなかなか雰囲気がいい。道の端に小さな礼拝堂があった。ここら辺で標高1000mを越える。

礼拝堂のマリア像。マリア像の上に白い天使の象があるが、どの天使かは不明。

シャルベルグ標高1320m。ここまでの走行距離12キロ。9時55分到着。1時間半かかる。1時間8キロのペースで登っている。写真中央の山の右側の、V字になっている部分の凹みあたりがシンプロン峠。行き先が見えちゃうと言うのもナンだ・・・。

谷を越える橋。ガンター橋。完成間近で、片側通行になっていた。登り側はまだこの橋を通れず、旧道の谷筋を伝う道を通る。標高にして1500m辺り。

ベリサル、ここら辺で標高1600mを越える。峠まであと標高差400m。

シンプロン峠の下、シャルベット標高1940mから見下ろすブリーク。これがブリークを見下ろせる最後の地点。

ブリークまでの標高差は1300m弱。はるばる登って来たものだ。下の谷は厳しい渓谷になっており、サルティナ渓谷と言われている。

ここから峠まではそんなに離れていないが、道は雪洞が続く。とても険しい箇所だ。

シンプロン峠到着。到着時刻11時55分。所要時間、3時間30分。毎時380m程標高を稼いだ計算になる。写真を撮りつつの登りなので、これがなければもう少し早いかも知れない。

シンプロン峠から見られる氷河を抱えるアルプス

峠の鷲の象。第二次大戦時代にここに国境警備隊が配置されたことの記念だそうだ。

シンプロン峠のオスピス。他にホテルもあり、峠はさながら小さな集落みたいな感じだった。

峠の反対側。といっても、スイス。

ここは軍事訓練場になっている。あの山肌めがけてロケット砲などをぶち込んでいたりする。

シンプロンという集落。シンプロン峠の博物館がある。

ゴンド渓谷。こんな所に道を切り開くのは大変だ。

峻険な山々が織りなす、幽玄な谷々といった感じ。この渓谷を過ぎると、国境の町ゴンドに着く。そこから先はイタリア。

国境検問所のあるイタリア側の町、イゼッレ。国境自体はもっと前にある。サイクリストには興味がないらしく、パスポートを見ようともしなかったのだが、念のため手渡ししたら見たふりだけしてくれた。笑

雰囲気がイタリアっぽい?電車はイゼッレからシンプロントンネルに入る。出るのはブリーク駅の結構近く。

さらに峠を降りたところで後ろを振り返る。シンプロン峠は写真中央の弛みあたりだろう。

ドモドッソラ近く、クレボラドッソラの村。イタリアとはいえ、アルプスの村といった雰囲気が色濃い。ロンバルディア州に位置する。

ドモドッソラ駅到着。13時55分。峠からの距離41キロ。所要時間1時間35分。
ドモドッソラの旧市街は石畳になっていて、とても趣があった。ぶらぶら歩いて見たい気もしたが、ユーロを持って来ていない。ドモドッソラへは、スイス国鉄の一日券で行けるので、ここで切符を買う必要もなかったのだ。
下りはスピードも出るので、写真撮影に止まる回数も減る。ブリーク側の方が景色がいいというのもある。急いで自転車を分解して、輪行袋に詰め込み、14時10分発のジュネーブ行き国際急行チッサルピーノに乗り込む。往路は自転車で峠、復路は電車でシンプロントンネル、シンプロン尽くしといったところ。だが、トンネルは暗いだけ・・・。国境でのパスポートコントロールはなかった。

ヴァリスに戻り、サルゲシュに寄る。ここはフランス語でサルケネンと呼ばれる。地域としてはドイツ語圏なのだが、不思議にワイナリーの名前はフランス語が多い。サルゲシュの隣、シエールは同じ州にありながら、フランス語圏。ヴァリス州自体は、フランス語圏の方が広い。
写真のカーヴ・ヌーヴォー・サルケネンはサルゲシュでも大手のワイナリーで、面白いワインを造っている。

それが、悪魔のワイン、ルシファー。ラベルもこの人形と同じものがデザインされている。ピノ・ノワールで出来た赤ワイン。悪魔の割には飲みやすいワインだった。また、ここには甘口の氷河貯蔵ワインがある。ローヌ氷河をくり抜いて造った貯蔵室で樽熟成されたワイン。氷河の清々しさが漂うワインだった。

お目当てのカーヴ・ド・シャペル。小さいワイナリーだが、なかなかいい質のものを造っている。私のお気に入り。ヌーヴォー・サルケネンの反対側にある。

サルゲシュのブドウ畑、この地区のピノ・ノワールにはグラン・クリュの呼称が許されている。

氷河によって出来たローヌ谷、その景観は美しい。

こちらは隣町のシエール。ここに入ると突如フランス語に変わる。山の上は、高級リゾート地モンタナ。

シンプロン峠サイクリングの行程記録

ちょっと寝不足気味だったけれど、ベルンからブリークまで電車で行き、そこから自転車で走り始め、峠を越えてイタリアのドモドッソラまで走り、また電車に乗って帰って来るという行程。

 ブリーク(標高675m)を8時25分に出発、シンプロン峠(標高2005m)到着11時55分。3時間半かかった。標高差1330m。写真を撮りながらののんびりサイクだったが、それでも毎時380mの標高を稼いでいたことになり、結構脚力が増しているかも。ただ、経験的に標高2000mを過ぎると空気が薄くなり、息が上がってペースダウンしてしまう。この峠の場合ペースダウンする前に峠に到着してしまうから早かったかも。標高差が1330mだと楽だ、午前中に峠に着ける。いや、やっぱり登りは辛いのだけれども、峠に着いても余裕がある。

 下りは早い、峠で昼食を取り12時20分出発、ドモドッソラ到着は13時55分。1時間35分だった。走行距離:ブリークーシンプロン峠間24キロ、シンプロン峠ードモドッソラ間41キロ。登りは毎時7キロ弱のペース。下りは毎時27キロちょいのペース。やっぱり下りは登りの4倍早い。

 ドモドッソラからスイスに入る列車は自転車をそのまま持ち込めないので、駅で輪行となる。乗りたい列車の時刻が14時10分だったので、許された時間は10分程度。久方ぶりの輪行で、どうなることやらと思ったが、なんとか10分以内で自転車を分解、輪行袋に収納出来た。体が覚えているんだろうな。

 帰りがけ、ヴァリスのワイン産地サルゲシュ、シエールに寄る。かねてから目をつけていたワインを買って帰った。帰りの電車の中でもヴァリスの赤ワインを飲む。寝不足、疲れなどが重なり、よくまわること。