日記でスイス旅行−スイスのアルプス−

べルンを流れるアーレ川。この川は途中でいくつもの湖となり、スイス北部でライン川に流れ込んで終わる。このアーレ川の源流がグリムゼル。写真は源流に作られた人造湖、グリムゼル湖。この流域にはいくつものダムが作られており、水力発電に利用されている。高低差の激しい地域だから、水力発電には好都合。
源流にあるダムなのに、水の色が既に白骨温泉並に濁っている。ヨーロッパの水源はもう源流から硬水を生み出しているのだ。
写真中央の山腹に白くなっている所があるが、これも人造湖のゲルマー湖。
http://www.grimselstrom.ch/unternehmungen/anlagen/seen_staumauern/gelmersee?set_language=en&cl=en
KWOという水力発電の会社のサイト。ゲルマー湖以外も紹介されていて、ちょっとしたアーレ川源流の湖巡りが出来る。結構綺麗な写真もアップされている。リンクは英語。
このゲルマー湖に行くには、麓からケーブルカーに乗るのだが、このケーブルカーがただものではない。何せ、世界一急勾配のケーブルカーなのだ。勾配が最大で45度を越える。車両をつなぐケーブルが浮き上がっているほどで、よくもまぁ、レールに車両が収まっているものだと思うくらい。ジェットコースターより迫力がある。
http://www.grimselwelt.ch/bahnen/gelmerbahn
SBBの英語のサイトがあった
http://mct.sbb.ch/mct/en/top_angebot/berner_oberland/gelmerbahn.htm

リムゼル峠のヴァリス側にある湖、名前がTotensee。訳すと【死湖】。こんな綺麗な湖なのに何故、この様な不気味な名前がつけられるのか、と調べたら昨今のインターネットは便利この上なし
http://www.touren-biker.de/Paesse/grimsel.htm
何でも、ナポレオンとの戦争で何百人もの死体がこの湖に沈められたそうな。その時は、さぞや不気味だったろう・・・・。
大自然とは人の歴史に関係なく厳存しているものだけど、その土地の名の由来を紐解くと、風景が違って見える。紹介サイトのスイス地図が面白い。峠の名前をクリックすると解説ページが現れる。
http://www.touren-biker.de/Karten-HTML/strassenkarte-schweiz.htm
ドイツ語だ。翻訳には
http://world.altavista.com/
ドイツ語からだと英語しか翻訳できないけど、ドイツ語から英語の翻訳精度は結構いいので、読めると思う。

グリムゼル峠をヴァリス側に下ると、ローヌ谷に落ちて行き、オーバーヴァルド地区に入る。写真はグリムゼル峠から、オーバーヴァルドに広がるアルプスを眺めたところ。
このアルプスの反対側はティチーノ州。オーバーヴァルド・アルプスには、ノヴェーナ峠Passo della Novena(2478m)が開かれており、ティチーノのアイローロに抜けられる。この峠はゴッタルド峠が混んでいるときの迂回路として、地元の人に知られている。
オーバーヴァルド・アルプスの個々の山には、ドイツ語名で、あるいはイタリア語名でつけられており、ごっちゃになっている。これも面白い。例えば、Mitaghorn(3015m)独、Pizzo Nero(2904m)伊

グリムゼル峠から見た、フルカ峠へ通じる道。
写真右の氷河はローヌ氷河。ローヌ川の源流。ここから上は水じゃなくて氷だもんね。
写真右下の小さな集落はGletsch(グレッチュ)
夏場、旧線を利用してグレッチュからフルカ峠の反対側のリアルプ間に蒸気機関車が走る。一度子供たちを連れて乗ってみたい。
http://www.furka-bergstrecke.ch/ger/region/naturpfad-uebersicht.htm

この氷河がローヌ川の源流。ここからヴァリスのローヌ谷を通り、ヴォー州でレマン湖になる。ジュネーブでローヌ川に戻り、フランスに入り、フランス第2の都市、リヨンまで西進して、南に向きを変え一路地中海へと流れ進む。その距離812キロ。ローヌ氷河のある峰の反対側はライン川の源流となる。ライン川はその距離1320キロ。どちらにしても長い。

ヌフェネン(ノヴェーナ)峠からのベルナーアル プス
この峠から、ベルナーアルプスの山並みがとても良く眺望できる。ベルン川からはあまり良く拝めない、ベルナーアルプスで一番高いフィンスターアールホルン
(4274m・写真中央左)がひときわ目立って美しい。写真中央右に目立つピークはロイターアールホルン(4042m)で、これもヴァリス側からならでの眺望。

フィンスターアールホルン4274m

ロイターアールホルン4042m

グリース氷河
ヌフェネン峠は、アルプス越えの峠の中で一番標高が高い。峠からは氷河が間近に迫っている。グリースホルン(2969m)から広がるグリース氷河。夏でもひんやり。

ヌフェネン峠のティチーノ側
なんとも穏やかな感じ。といっても森林限界を超えているのは確か。稜線の上部では植物の姿もないようだ。

ブリューニッグ峠1008m付近から見下ろすルンゲルンの村

湖の名はルンゲルナー湖

アレッチホルン4193m
堂々とした山。両脇に小峰を抱え、まるで横綱の土俵入りみたい。小峰とはいえ、富士山並みの標高だ。
左がザッテルホルン3745m、右がドライエックホルン3810m手前の氷河がこの主峰の名を冠する、ヨーロッパ最大の氷河、アレッチ氷河。アレッチ氷河は土俵の様にアレッチホルンを巻いている。

ヨーロッパ最大の氷河、アレッチ氷河。
ものすごい圧力がかかっている。氷河の縞状になっている所は、その圧力で削り出された岩石。この氷河は、上流部で3つの氷河が合体し、一つになって流れ込むので、この様な縞がくっきりと現れる。壮大な氷河だ。
遠くに見える高い山は、左からユングフラウ、メンヒ、そしてすぐ右隣に手前に位置するトゥルグベルグがあって、その右にかすかにアイガーが伺える。

氷河の縞模様がどの様に作られるのかが良くわかる。
画面中央のトゥルグベルグが氷河を分けている。トゥルグベルグの左がメンヒ、右がアイガー。こちら側から見るアイガーは大したことないが、反対側から見ると、標高差1000メートル以上の絶壁という壮大な姿を拝む事が出来る。といっても、反対側に行くには電車で何時間も揺られないと行けない。

ブライトホルン3785m
写真中央にぴょこっと突出しているのがブライトホルン
富士山よりちょっと高い山。エッギスホルンからアレッチ氷河下流を眺めると拝むことが出来る。
スイスアルプスは日本の山と言うイメージから遠い。岩が盛り上がって出来た、岩石の巨大な団塊といった感じ。
こういう所に行くには、アイゼンだとかザイルだとか、フル装備で行かなくちゃならないだろうし、当然ロッククライミングの技術も要求される。・・・命がけだな。

ベルナーアルプスで一番高い山、フィンスターア ールホルン4274m。手前の氷河はフィンスターアールホルンの北西に位置する
フィーシャーヘルナー4049mから発する氷河フィーシャー氷河。フィーシャーへルナーは写真から外れているので見えない。山で氷河が所々分断されて見えるので実感がわかないだろうけれど、この氷河も結構規模がでかい。
標高4000m級の山々を擁するベルナーアルプスだけあって、氷河はあちこちにある。標高4000mともなると、夏でも最高気温が0度だもんね。

ここがスイスの首都ベルン?え?どこにも建物がない??だから、スイスの首都なんです〜〜〜。というのは冗談。ベルン市郊外にあるグルテンと言う丘の上からベルナーアルプスを撮ったもの。
この丘からはベルン旧市街も眼下に見おろせる。ベルン駅からケーブルカーの駅まではトラムで10分程のところ。晴れている時は、ここでくつろぐのがお勧め。休日は家族連れで賑わいます。

たいがいの山は、その山のゲートシティに行かないと姿を現さないのだけど、ベルナーアルプスだけは何十キロも離れたベルン市からもその美しい姿を眺める事が出来る。近くに行けば、その迫力に圧倒されるのだけれども、離れた所からのベルナーアルプスもまた美しい。

ベルナーアルプスの麓にある村々の自然も厳しい。

シュレックホルン4078m
ベルン市から見るベルナーアルプスで、ひときわ美しい姿を現すのが写真中央のシュレックホルン。単独峰に見えるけれども、ちょうど連山が縦一列になる為、この様な見え方をする。右横にちょこっととんがる山が、実はベルナーアルプスで一番高い、フィンスターアールホルン4274m左に連なる峰は、ベルグリシュトック3656m、ヴェッターホルン3701m

これが主役のアルプス3山
写真中央部の左から、アイガー、メンヒ、ユングフラウ
スイスに来て、これを拝まなければ、スイスに来たとは言えない程名の知れた山。
アイガーの正面が一面陰に覆われて暗くなっている。ここが、アイガーの北壁と言われるところで、標高差1000メートルを越える断崖絶壁となっている。
登山の世界では、世界的な難所として知られている。ここから登頂を目指して、不運にして命を落としたアルピニストは数多い。
因みに、ユングフラウヨッホまで行く登山電車に乗ると、アイガーという途中駅で登り電車が止まる。写真撮影用に5分くらい停車するのだが、早速降りて外を見ると・・・・垂直ならまだしも、反り返っているじゃないのっ!どうやって登れというんだろう・・・という壁でごじゃりまする。

空から撮ったスイスアルプス
2007年4月。山は真っ白。
行きはミラノ経由だったため、飛行機がアルプスを横切った。スイス中央部から見た、東側のスイスアルプスの風景

谷が深い
谷の部分の標高はだいたい500〜600mで、山は2000〜4000m。その標高差が2000〜3000mあるので、谷が大変深い。こんな谷が至る所に走っていて、そこに人が住み着いている。スイス中央部の人々の生活の大変さが伝わってくる。

ライン川源流部
流石にライン川となると、源流部の規模もでかい。
正確に言うと、ライン川の上流部で、2つに別れ、北側に位置する支流をフォルナーラインと呼び、南側に位置する支流をヒンターラインと呼ぶ。
ライン川の長さを測定する時は、フォルナーラインの源流部にあるTomasee(seeはドイツ語の湖だから、訳するとトマ湖)からオランダの河口までとなっている。よって、このトマ湖というのはライン川の源流として名が知られている。因みにこの湖、もう一つのスイス公用語ロマンシュ語によれば、Lai da Tumaといい、トゥマ湖という名称も成り立つ。
この写真はフォルナーラインの方。

山国スイスを物語る風景。人は雪の少ない谷間でしか生活出来ない。この高地に走る亀裂の、筋々にしか生活出来ないのだから、いかに狭い場所でしか暮らせないかがわかる。

ゴルナーグラート駅
登山電車の終着駅。しかしまぁ、よくもこんな高い所まで電車を走らせるもんだ。スイス人の根性はすごいっ!
電車がやってくると、駅も沢山の人でごったがえす。で、みんな目前の氷河と、あまりに美しすぎるマッターホルン4478mに感動するのだ。
ここでカメラを首にぶら下げているのは、日本人観光客だけではない。

電車がかなり小さく見えるので、ここが相当広々としていることがわかると思いまふ。

ヴァイスホルン4505m
ツェルマットのある谷筋をマッター谷という。マッターホルンといい、マッターと名が付く地名の多いところだ。別に急いでいる人が多い訳でもなのだが、何で「マッター」なんでしょうねぇ。
戯言はさておき、このマッター谷は左右に4000m級の山を抱える非常に深い谷で、ヴァイスホルンはその西側の主峰。ヴァイスというのは「白」という意味。日本で言えば白山だ。
ちなみにモンブラン。これもフランス語でいう「白山」

ドーム4545m
マッター谷の東側に位置するミシャベル山脈の最高峰ドーム4545mという、とっても覚えやすい標高。
シコシコ
因みに、ヴァリスアルプスの嶺はほとんどイタリア国境になっていて、そこにスイス最高峰のモンテローザがあるのだが、その北斜面がスイスで、南斜面がイタリアという関係にある。
しかし、ミシャベル山脈は、マッター谷を形成する山塊なので、全てがスイス国内に位置している。
その、全てスイス国内に位置する山としては、このドームがスイスの最高峰になっている。

モンテローザ4634m
ここが国境の山稜を含めた場合の、スイスの最高峰。
この山の向こうはイタリア、ヴァッレ・ダオスタ。これも、日本の山というイメージとは程遠い様相を呈している。山を取り巻くように氷河が見える
ちなみに、モンテローザとはでこぼこした岩峰の総称で、その中で一番高い峰が、スイス最高峰になっている。その峰には、ドゥフォールシュピッツェと名前が付いている。訳すと、ドゥフォール峰
だから、スイスで一番高い山は? モンテローザで正解だけれど、スイスで最高峰は? ドゥフォール峰が正解、でもって、スイス国内の一番高い山は? ドーム
ひっかけ問題を作るには最適やね。

ゴルナー氷河
モンテローザの下から始まる氷河で、結構規模が大きい。中央の山は、モンテローザの右に位置する、リスカム4527m。氷に被われて、さむそ〜〜〜。個人的には、寒いの嫌い。ああ、コバルトブルーの海が見える島に住みたい!!って、ここに住んでいるわけではないが。

セントバーナード
山で本物に会ったのは初めて。でも、この犬、救助活動はしていなさそう。観光客と一緒に記念写真を撮るのがお仕事の様だ。
カメラ首にぶら下げているし・・・。

ど、どこかで見た事が・・・
あるはずですよね。年賀状で使った写真であります。
これが湖といえるかは別として、名前はリッフェルゼー
ドイツ語のゼー(See)は湖も意味します。グルナーグラートからこの湖を経由してリッフェルアルプまで
下っていくコースは、まぁ、マッターホルン銀座みたいなもんで、訪れる人は、それはそれは沢山おります。が、侮ると痛い目に遭うのも事実。途中にはガレ場もあるし、高所恐怖症の人には頭が痛い様な急傾斜地を通ったりします。
標高は2千メートル以上あるし、天候が急変すれば遭難もあり得る場所でもあります。防寒具や雨具、水、非常食などの装備は必要ですし、最低限トレッキングシューズで行くべきでしょう。季節によりますが、雪渓を横切る事にもなりますから。
宿泊しながら山歩きする場合、当日の予定をホテルに知らせておくのがマナーなんだそうです。何も言わず日暮れまでに帰らないと、捜索隊が組織される場合もあるそうです。
しかし、その景色たるや!!!一度見たら、一生忘れる事はないでしょう。

マッターホルン、どアップ
前回の写真と同じ位置から、マッターホルンだけを撮ったもの写真は、構図を変えると全然イメージが違う。
それに天気や時間、季節によってもがらりと変わってくるし、その七変化ってやつが面白い。多くは、その時々、自然から与えられた風景を撮影することになるから、風景写真は受動的。自然の恵みを頂くだけ。撮影者に許されるのは、自分の望む景色になるまでじっと待つという事くらい。結局受動的な忍耐を強いられる。
ただ、運のいいときは、どこでも美しいから、あっちこっち飛び回って撮りまくる事も出来る。この場合は、下手な鉄砲も数打ちゃ当る、だ。笑
デジカメは現像料を気にしなくて済むから、乱打には最適だね。

4000m級の山々が連なるこの一帯でもマッターホルンはひときわ目立つ。まるで天まで届く剣のよう。

サマーシーズンで晴れていると、まさに極楽。
普通は下りを選ぶけど、登りに挑戦したら、見る景色がもっと極楽かも。

アルプホルンの音が聞こえてきそうな風景
谷の下にへばりついているのがツェルマット。両側の山塊はそれぞれ標高4000m級の山々を擁する。右側の双子の山みたいなのが、ミシャベル山脈の主峰ドーム。スイス国内に存在する山としては一番高い。
この谷は、ローヌ谷まで下り、ローヌ川に会う。ローヌ川の対岸の山脈はベルナーアルプス。
正面遠くに立ちふさがっている様に見えるのがベルナーアルプス。アルプホルンの音が聞こえてきそうな風景だ。人によっては、アルプスの少女ハイジかも。笑

ヴァリス州の家
ヴァリス州では、こういう石を平たく切り出して屋根に敷き詰めた家が多い。なんとなく、風情があっていいですな。