ハイジの里マイエンフェルド・グラウビュンデン州、
ザンクトガレン州・チューリッヒ州、リヒテンシュタイン公国

概要説明

アルプスの少女ハイジ」の舞台となった、東スイスの小さな町マイエンフェルド。そこはアルプスの少女ハイジの里と共に、ワインの里でもあった。マイエンフェルドの町はブドウ畑に囲まれている。

マイエンフェルドはグラウビュンデン州のほぼ北端に位置しており、その北にはザンクトガレン州、リヒテンシュタイン公国が迫っている。マイエンフェルドまではチューリッヒから車で約1時間。

リヒテンシュタイン公国はライン川を挟んでスイスのザンクトガレン州と隣り合わせている小さな国で、スイスとは特別な関係があり、軍事と外交をスイスに委託している。通貨もスイスフランを使用しており、スイスとの国境にはお互いの国旗がひらめくだけで、他にゲートらしきものも何もない。

東スイス地区のワインはライン川沿いが基本となっており、ライン川の源流を擁するグラウビュンデン州が起点となり、ザンクトガレン州とその対岸のリヒテンシュタイン公国、トゥールガウ州、シャフハウゼン州、チューリッヒ州、アールガウ州、バーゼルランド州と通り、ドイツのライン・ファルツへ、あるいはフランスのアルザスへと抜けていく。

マイエンフェルド・ワインは、ライン川源流ワインの一つとなる。このライン川流域ワインはほとんど同じブドウ品種を用いている事に共通性があり、一種のライン・ワイン圏を形作っている。東スイスのワインは、このライン・ワイン圏に入る。シャスラが主体のヴァリス・スイスロマンド地域のワインとは異なっている。

一般に東スイス地域の栽培ブドウ品種は赤のピノ・ノワーが主で、白では辛口のピノ・グリ、中辛口のリースリング・シルヴァネルなどである。ピノ・ノワーから白ワインも作っており、フェーデル・ヴァイスと名を付けている。他に地ブドウやシャルドネ、ソーヴィニョンなども栽培されている。

赤のピノ・ノワー、辛口白のピノ・グリという構成はアルザスワインを彷彿させる。中辛口のリースリング・シルヴァネルはドイツのラインワインを彷彿させる。流石にラインの源流だけあって、独仏の雰囲気が入り交じっている。

リースリング・シルヴァネルはドイツではミューラー・トゥールガウと呼ばれることが多い。というのは、このブドウ品種を開発したのが、スイスのトゥールガウ出身のミューラーさんだからだ。この品種はドイツの白ワインの代表的ブドウ品種の一つとなっている。

ピノ・ノワーは東スイスでブラウ・ブルグンダーと呼ばれることが多い。これを直訳すると青いブルゴーニュ種となる。この呼称はドイツ南部とスイス、オーストリアで使われている。しかし、ライン川を北上し、ラインヘッセン地区あたりまで行くと、シュペート・ブルグンダーと呼ばれる様になる。直訳すると遅いブルゴーニュ種だ。スイス系はこのブドウの色からそう呼び、中央ドイツ系は遅くまで収穫出来るブドウの性質からそう呼ぶらしい。

今回撮影したのは、マイエンフェルド(グラウビュンデン州)、リヒテンシュタイン公国、サルガンス(ザンクト・ガレン州)、ヴァーレンシュタッド、チューリッヒ湖岸(チューリッヒ州)。ざっとこれらの諸州の概略を紹介する。

グラウビュンデン州は2つのワイン地域を持っており、一つは州北部のライン川地域、もう一つは州南西部ヴァレ・メゾルチーナというイタリア語圏地域である。イタリア語圏はティチーノ州のワインと同じくメルロ種が主体となっている。スイス・イタリア語圏はこのメルロで、赤、ロゼ、白と何でも作る。

生産量としてはライン川地域が圧倒的に多い。ライン川地域はグラウビュンデン州の州都クール辺りからマイエンフェルド辺りまでのライン川流域一帯となる。ライン川地域も、南北に地域分けされており、クール側の南部が、ビュンドナー・ラインタル、マイエンフェルド側の北部がビュンドナー・ヘアシャフトと呼ばれている。ビュンドナー・ヘアシャフト地域に評価の高いワイナリーが多い。フェーンの影響を受ける地域で、標高が500メートルを超えていても気温が上がるため力強いワインが生まれる。

リヒテンシュタイン公国は首都ファドゥーツに国営醸造所があり、直売もしている。他に民間のワイナリーもある。国営のワイナリーでは、赤にピノ・ノワー、白にシャルドネを用いている。リヒテンシュタイン・ワインと言われるものには、リヒテンシュタイン公が所有するウィーン北部のワイナリーのものも含まれる。産出量は、そちらの方が多い。ファドゥーツのものは「ファドゥーツァー」と銘打たれている。

ザンクト・ガレン州のワイン生産地はライン谷地域、ヴァーレン湖岸の高地帯(オーベルランド)、チューリッヒ湖東端、州北部のヴィル周辺の地域に分かれている。湖岸や河岸の気候が穏やかになる所、フェーンの影響を受ける所などにブドウ畑が作られている。

チューリッヒ州のワイン生産地はチューリッヒ湖岸、チューリッヒ市の外れからアールガウ州にかけてのリマト川流域、州北部のライン川流域に分かれている。リマト川はアーレ川と合流し、そしてライン川に入る。スイス中央から東にかけての河川は中央がアーレ川、東がライン川に入り、アールガウ州で全てライン川に集まる。スイスの河川の約7割は、有り体に言えばライン川の支流だ。

サルガンスから北の拡大図
サルガンスから南の拡大図

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